予約して発売日に購入したキヤノン初のフルサイズミラーレス「EOS R」
持ち出さない週末はない程度に購入してから半年間よく使ってきました。
半年間使った上で気に入ったポイント、不満があるポイントを羅列しています。
前置き
- 主な被写体は子供。まだ幼児期のため激しい動きはない。
- 家族とのお出かけついでにスナップ撮影。
- マウントアダプターを使用してPENTAX Kマウントレンズも使用。
もともと一眼レフ機PENTAX K-1を使用していました。
子供との外出時に毎度毎度大きく重たいカメラを持ち出すのは現実的ではないためミラーレス機へ移行。
APS-C機であるEOS M6も使用していますが、やっぱりフルサイズ特有のボケを活かした写真を撮影したいためフルサイズミラーレス EOS Rを購入しました。
半年間使ってみて感じたことを列挙
ここが素敵ポイント
- EVFが思っていた以上に綺麗
- 持ちやすく疲れにくいグリップ
- JPEG撮って出しの人物の色が好き
- C-RAWが使える
- センサーほぼ全面で行えるAFがとにかく早く正確
- バリアングル液晶とタッチ操作が快適
- EFレンズとの組み合わせ良し
- 通信周り(スマホ連携)が優秀
- USB充電対応
ここがいまいちポイント
- ボディ側に手ブレ補正なし
- まあまあ大きく重たい
- AFポイント選択にもっと小さいサイズが欲しい
- RFレンズに小型軽量なものが少ない
- サーボAF時の連写速度が遅い
この辺りが感じたポイントです。
それぞれ詳細について触れていきたいと思います。
気になった点がある場合は、目次からどうぞ
外見、大きさ重量
デザインについては、好みが分かれる部分ではありますがかなり好きです。
エントリー機と異なるしっかりとした質感のあるマグネシウムボディが剛体性の良さや高級感を感じさせてくれます。
△まあまあ大きく重たい
大きさ 約135.8(幅)×98.3(高さ)×84.4(奥行)mm
質量 約660g(バッテリー、カードを含む)/約580g(本体のみ)EOS R製品ページより引用
約660g(バッテリー、カードを含む)とミラーレスとはいえ、革新的な軽量化とはいかず。
フルサイズで小型軽量を求める場合は、後に発売されたEOS RP(485g)が魅力的になります。
大きさ 約132.5(幅)×85.0(高さ)×70.0(奥行)mm
質量 約485g(バッテリー、カードを含む)/約440g(本体のみ)EOS RP製品ページより引用
それでも以前使用していたK-1(ボディ単体で1kg超え)から比べると、大幅な軽量化となりました。
ミラー部がなく体積が減ったため持ち出し時のカバンへの収まりが良くなりました。 標準ズームレンズRF24-105mm F4 L IS USMを装着した状態でミラーレス用の小型バッグに余裕で入ります。
革新的な軽量化とは言えませんが、子供と一緒のお出かけでも持ち出せるサイズになってくれたと思います。
◎持ちやすく、疲れにくいグリップ
前述の通り、小型軽量とは言えませんがその代わりにレフ機と変わらない程にしっかりとした肉厚のグリップ。
小型なレンズならともかく、大きく重たい高性能レンズを使用すると前方に重心が偏ります。
しっかりしたグリップのおかげで撮影時に握った際には重さを感じさせず、長時間の使用でも手が疲れません。
画質・色合い
◎人肌が綺麗
子供の写真を綺麗に撮るという主目的において充分に満足できる画質・色合いで撮影できています。
キヤノン機で撮影した人物の肌の発色が好み。 難しいと言われる室内灯下でのAWBについてもまあ満足。大量の写真を後から色調整をする必要なく、JPEG撮影で満足できる絵を作ってくれる点が気に入っています。
◎RAW形式でもデータサイズが小さい
子供や家族の写真においては後からいちいち色調整をするのも大変なのでほとんどJPEG撮影です。
一方でスナップ撮影の場合はRAW形式で撮影して、後からRAW現像ソフトで色調整を行うこともあります。
RAWデータはファイルサイズが大きいため、ストレージ容量がどうしても気になります。 EOS Rで使用できるC-RAWというデータ保存形式は、RAW形式でありながらファイルサイズが軽量化されています。
従来のRAWに加え、新たなRAWフォーマット[C-RAW(CR3)]を採用。RAWと同じ約3030万画素データでありながら、ファイルサイズを軽量化。処理速度と連写速度の向上も同時に実現、撮影時のパフォーマンスを拡大させます。
EOS R製品ページより引用
通常のRAW形式のほうが高画質であると言われていますが、私の目ではその違いはわからないレベル。 画質に大きな影響を与えることなく、ファイルサイズをRAWに比べて30〜40%小さくできるため、ディスクスペースを節約できます。
ファイルサイズが小さい分、連写速度等の撮影時のパフォーマンスもRAWに比べて向上するメリットもありRAW形式で撮影する場合はC-RAWを使用します。
EVF周り
◎EVFはとっても快適
OVF(光学ファインダー)至上主義という訳ではないですが、ミラーレスカメラのEVF(電子ビューファインダー)に表示される映像に慣れる違和感を感じ敬遠していました。
EOS RのEVFはそんな従来の思い込みをなくしてくれました。
覗いた瞬間に分かる広くて隅々まで見やすいEVFは、OVFと同様にファインダーを覗いて撮影を楽しむ欲求を十分に満たしてくれます。
EVFのメリットは撮る前に出来上がりの絵を確認できるといった当たり前のことからはじめ、様々ありますが特に下記が気に入りました。
- ファインダーを覗きながらピント箇所をピーキング表示や拡大表示できる
- 露出等の設定値がとても見やすい
- 撮る前に撮影後の絵を確認できる
MFでのピント合わせ時にファインダーを覗きながらピント箇所をピーキング表示や拡大表示で確認できる点はMF専用レンズをよく使う私にとって大きなメリットでした。
露出等の設定値がとても見やすい点も◎
メガネをかけているため通常のOVFでは見辛かった画面端の露出等の設定値がくっきりハッキリとファインダー上で確認できます。
また、当たり前ですが撮る前に撮影後の絵を確認できるため無駄なシャッター回数が減ります。
結果として撮影後の写真判別作業が楽になるというメリットもあります。
OVFの直接被写体と向き合う感覚も写真を撮っている感があり撮影に没頭できるため好きなのですが、便利さに慣れてしまうとEVF機を手放せません。人間易きに流れてしまいますね。
AF周り
オートフォーカス周りの感想です。
◎ほぼ全面をカバーするAFエリア
さっと構えてAFをカメラ任せにしても子供の顔にピントの合った写真を撮ることができる。
EOS Rにメイン機を交代していちばん満足できた点でした。
センサー領域の横約88%×縦約100%をカバーするAFエリア
測距可能エリアは、EOSのフルサイズで最大の約88%(横)×約100%(縦)の広範囲を実現。画面の隅に被写体を配置するような構図でも、高速・高精度なAFが可能に。DIGIC 8の高速処理能力を活かし、より低コントラストの被写体や低輝度シーンにおいて、高い被写体捕捉能力、測距精度を発揮します。
EOS R製品ページより引用
この広いAFエリアのおかげで被写体配置の自由度がとても高いです。
被写体をセンターにおいてフォーカスロックして、構図変更するといった煩わしさがなくなりました。
AF速度についても装着レンズに関係なく、とにかく素早く正確に指定したAFポイントにスッと合います。
高い人物検出精度
人物の顔の検出精度も高くファインダーや背面ディスプレイを確認しないまま撮影しても、動き回る子供の顔に自動で合焦してくれます。
ここがパパカメラ目線でメイン機を変えて一番よかった点です。
当然PENTAXのライブビュー撮影にも顔検出モードは搭載されています。
しかし、合焦スピードはお世辞にも早いとは言えずじっとしてはくれない子供の撮影には向きませんでした。PENTAX機のライブビュー撮影はあくまで動かない被写体向けだと思ってます。
◎AFポイントの移動が楽々
タッチアンドドラッグAFという機能によりファインダーを覗きながらAFポイントの移動を簡単に行えます。マウスカーソルを移動するように、任意の箇所にAFポイントを動かせます。
△AF選択ポイントはもっと小さいサイズが欲しい
AF枠選択は自動(顔+追尾)をよく使い、次点で1点選択モードをよく使います。
この1点選択モードのAF枠のサイズがちょっと大きく感じてしまう。もっとピンポイントに合わせられるAFモードが欲しくなります。
特にクロップモードではAF枠までもご丁寧に拡大されてしまうという残念仕様。 細かく小さなポイントにピントを合わせたい場合は、マニュアルフォーカスで行った方がよさそうです。
今後のファームアップでの機能追加に期待
△瞳AFは課題あり
瞳AFは他社カメラと比較して、まだまだ制限が多く使いどころが難しい。
サーボAF(被写体追尾AF)に対応しておらずワンショットAF時にしか使えない。- 写っている顔が小さかったり、横向き時には検出しないことがある。
じゃあこの瞳AF機能、いつ使えるかと言うとバストアップでのポートレート撮影等のシチュエーションでは重宝するかもしれません。
家族の写真を撮影する際には有用で役立っています。 瞳AFは今後ファームアップで下記の改善があれば嬉しいです。
サーボAF時にも使用可能- 顔の大きさが小さくても使用可能(全身撮影時)
※サーボAF時の瞳AFは2019/4/18付のファームアップで搭載されました。
インターフェース
インターフェース周りの感想です。
◎タッチ操作が快適
撮影時も再生時もメニュー操作時も背面ディスプレイでタッチ操作を行える。
とても基本的で地味な部分ですがとても便利。
こうしたUI周りの使いやすさはさすが一日の長といったところ。
EVFを覗いての撮影と背面液晶を見ながらの撮影両方で快適にカメラを扱うことができます。
◎バリアングル液晶が便利
可動範囲の広い液晶画面は、撮影構図および姿勢の自由度をあげてくれます。 そのまま反転させた液晶上をタッチすることで、各種設定項目の変更であったりシャッターを切ることも可能。
◎通信周りが便利
無料アプリ「Camera Connect」でのスマホ連携機能が充実しています。
スマホとのBluetoothペアリング機能
特にBluetoothでスマホとペアリングしておけば、カメラが電源OFF状態でもWi-Fi接続できる点が便利。
- カメラをバッグにしまっている状態
- 離れた場所にありリビングのソファから立ち上がるのが面倒
こんなシチュエーションでもスマホから遠隔でカメラの電源を一時的にONに、カメラ内の画像を転送することができます。
自動転送機能
家で写真を撮る際にスマホやタブレットでアプリを「Camera Connect」を立ち上げ、自動転送機能を有効化しておけば、写真をあとからわざわざ転送する手間がありません。
撮ったその場で大きな画面で撮った画像を確認できます。
◯マルチファンクションバーは使い方しだい
酷評されがちなマルチファンクションバーですが結構と重宝しています。
現在は下記の設定で落ち着きました。
<>スライド:ホワイトバランス変更(or AF方式の切り替え)
<タップ :AWB切り替え(ホワイト優先⇔雰囲気優先)
>タップ :MFピーキング切り替え
誤って触れることで設定が変わってしまうことを嫌い、とくに指が触れてしまいやすい「>タップ」には撮影への影響が少ないMFピーキングの切り替えを設定しています。
その他
◎サイレントシャッター搭載
購入前はあまり気にしていなかったのですが、子供の寝顔や、静かなカフェで撮影するときなど周りに対して音を配慮したいときに重宝しています。
サイレントシャッターを有効にしながら、細かい露出設定が可能なのはRPと比較した際のEOS Rの優位点(EOS RPはシーンモードのため露出は自動設定)になります。
△ボディ内手ブレ補正なし
ボディ側に手ブレ補正は搭載されていません。
昨今のカメラでは搭載されているのがデフォルトな機能であり、他社機と比較したときの一番目立ちやすいネガティブポイント。
長年使っていたPENTAX機には搭載されていたため、なくなったら不便になるかと想像していましたが、 実際数ヶ月間使い続けた上でもさして困ることはありませんでした。
レンズ側に手ブレ補正機構が搭載されているものも多く、また手ブレ補正がなければないなりにシャッタースピードを上げればいいだけなので。 特に子供の撮影においては手ブレよりも被写体ブレのほうが気になるため、シャッタースピードを早く(だいたい1/200以上)設定しがちなためだと思います。
とは言っても他社機では搭載されているので欲しい機能なのはやはり本音のところ。
手ブレ補正機能が搭載されていない他社レンズやオールドレンズを使用する際にシャッター速度に気を遣う必要があります。
△サーボAF時の連写速度が遅い
高速連写時のコマ速は最高約8コマ/秒とスペックシートにありますが、これはああくまでワンショットAFを使用した場合。 サーボAFでは約5コマ/秒に連写速度は落ちます。
普段子供を撮影する際にはあまり気にならないのですが、たまに動物や野鳥を撮ってみようかなといったときには連写速度の遅さを実感します。
◎電源OFF時のセンサー保護機構
センサー保護機構のおかげで屋外でも安心してレンズを交換することができます。
一方で電源ボタン状態判別が見にくいため、電源ONのままレンズを外してしまうこともあるのが珠に傷
◎USB充電対応
USB充電に対応しており、バッテリーを本体に刺したままUSB-PD対応機器にて充電が可能です。
バッテリーを充電する際に電池フタを開けて取り出す必要がないため、出かける際に本体に入れ忘れるといった悲劇はなくなりました。
◎EFレンズとの組み合わせ良し
どのEFレンズもネイティブマウントのように違和感なく使用することができます。
コントロールリング付きマウントアダプターによってレンズ操作部に機能を追加できる点が便利。私は露出補正を割り当てています。
また、EOS Rはボディ内DLO(デジタルレンズオプティマイザ)に対応しています。旧型のレンズであっても対応データがあれば回折補正などレンズの諸収差をカメラ内で光学的に補正をかけることができます。
このため、JPEG撮って出しでも絞り込みによる回析収差であったり周辺減光や歪曲収差を気にすることなく撮影できます。パソコンでの後処理が不要になるのがとてもストレスレスで○。
△RFレンズに小型軽量なものが少ない
一方で現在ラインナップされているRFレンズは大きく重たくかさばるものばかり。 唯一RF 35mm マクロは小型といえます。
現状EOS Rで小型軽量なレンズを使用したい場合は、マウントアダプターを使ってくださいということでしょうか、 EF40mm F2.8 STM を装着するもマウントアダプターがレンズ本体と同じくらいの大きさになってしまう。
RFマウントネイティブレンズでもっと軽快に持ち出せるものがほしいです。
まずはプロ・ハイアマユーザ向けのレンズラインナップから揃えるといったキヤノンの戦略かもしれませんが、ライトユーザー向けのお手軽レンズも出してほしいです。 願わくばボディキャップ代わりになるような28mm F2.0といったものを希望。
最後に
不満点もいくつか挙げましたが、総じて冒頭であげた自分の用途を満たすカメラです。
子供が誕生してからというもの、お出かけ時に大きなカメラを持ち出す気力がさっぱり起きずカメラ離れが進んでいました。
EOS Rを購入してからは、再び毎週末のお出かけで写真を楽しめるようになりました。
これ以上の上位機種(5Dやはたまた1DX系)は素人に毛の生えたレベルである私にはオーバースペック。
家族の記録を残しつつ、フルサイズセンサーでの写真を楽しむには十分すぎる性能を持っていると思います。
カメラはたくさん持ち出し使ってなんぼ。なにより使ってて楽しいと感じるのが一番。
家族と出かける日常使いにおいて、躊躇していたフルサイズセンサーのカメラを気軽に持ち出せるという点が一番満足しているポイントでした。